~ 菜 乃 庵 ~

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赤い長靴

赤い長靴 (文春文庫)

赤い長靴 (文春文庫)

結局のところ言語は人格なのだし、人格にない言葉を無理に発言したところで、それは音にすぎない。

「昔は夜が味方だったから」
かわりに日和子はそう言った。
「それを思い出してしまうのが恐いんだと思う。簡単に思い出せることがわかっているから」

笑うことと泣くことは似ているから

日和子はそういいながら、本当にくすくすとよく笑う。そのとき心は泣いている。

恐いです。ありがちなのが恐いです。「うん」とか「あぁ」とかしか言わない人たち。わかったようなフリを、あるいは本当にわかっていて、感情を表に出さない人たち。それは静かで正しいのかもしれない。

「ほんとうのこと」は一体どこにあるんだろう。相手に求めてもかえってこないから、自分で自分を納得させる術を身につける。会話が成立しないのは恐怖です。もちろん成立しない会話だってあるということがわかった上で。

江國さんの本を読むと、私の心はちょっとおしゃべりになる。