がらくた/江國香織
- 作者: 江國香織
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2010/02/26
- メディア: 文庫
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ドラマでも小説でも、登場人物に感情移入できれば、たいていのものはサクサクと楽しめるんじゃないかと思う(二時間で完結するドラマや映画は別)。
読みかけの本が何冊かあって、どれもこれもソンナ気分じゃないと放置していたんだけども、久しぶりに食指が動いたのはコレだった。
じゃー誰に感情移入できたんだい?と聞かれると、これが全くさっぱりで、一番共感できたのは美海だったけど、誰にも感情移入できなかったから読めたのかなぁと思う。矛盾。
では七十四年ものあいだ一体何をしていたのかといえば、これも母の表現だが「本ばかり読んできた」。たいていの人には信じられないだろうが、事実だ。そして、「でも戦争を生き延びたし、本を読む合間には結婚し、子を産み育てたのだから、もう十分としか言えない」わけなのだ。「私の人生はパーフェクトよ」と、母は言う。でも私は思うのだけれど、完璧じゃない人生なんて、あるんだろうか。すべての人生はある種の完璧だし、それを私は情事から学んだ。 P-12
大人ルールで、自分ルールで、みんなそれぞれ生きていく。
大事にとっておいたものは、あとで全部がらくたになる。