無銭優雅
- 作者: 山田詠美
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2009/08
- メディア: 文庫
- 購入: 3人 クリック: 17回
- この商品を含むブログ (24件) を見る
お金はなくても、優雅で贅沢な時間は存在する。
人の考える頼り甲斐と、私にとってのそれは決定的に違っているのだ。体が大きいことや経済力があることなどに安心を感じるなんて有り得ない。それは、ただの便利だろう。たとえば、私の伝えようとする言葉を正確に受け取ってくれる人に出会った時。頼りになるなぁ、と目頭が熱くなる。大袈裟みたいだけど、でも、ほんと、そういう瞬間、自分でも驚くほど、口数は多くなる。 p-31
当たり前のことだけど、人は死ぬまで生きるのだ。
経験は人を学ばせるけれども、強くはさせない。強がる術を身に付けさせるだけ。むしろ、どんどん、私は、臆病者になって行っている。恐いものなしだった頃が懐かしい。けれど、もう戻れないし、戻りたくない。臆病者であるのを自覚するからこそ、失いたくないものへの強烈な欲望に身をゆだねることが出来る。経験が仕立て上げた贅沢な臆病者。 p-62
詠美さんの小説はどれも好きなんだけど、これは文体がなかなかなじめなくて、読み進めるのに時間がかかった。