初夢
新年おめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
覚えているうちに書き留める。本当はもっと長かったような気がするけど。
小さな喫茶店みたいな部屋。右側は壁。その壁にぴったりつけた四角くて白いテーブルに、男の人と向かい合って座っている私。相手の顔は見えなくて、首から下だけ。
私から見てその人の左背後には横長の窓が開いていて、海が見えていた。ガラスもカーテンもない。海はキラキラと光ってまぶしかった。
男の人はメモのような紙をもっていて、私にいろいろ質問する。内容は鉱石の話。何の石だか忘れたけれど、原石を見たことがないと言う。
私は以前、地質調査の会社に勤めていたことがあって、いろんな岩石のカケラを見たことがある。どうやらそれで質問をされているらしかった。
その会社には国立K大卒の部長さんがいて、私はその人の下で働いていた。その人が超有名らしくて、私と向き合っている男の人からその名前が出た。
「××の鉱石は見たことがありますか?」
とその男の人が私に聞く。
「確か部長の机の上にありました」
と私が答える。
「どんな関係でしたか?」
とその男の人がまた聞く。
「彼は私の上司でした」
と当たり前のように私は答える。
その男の人は突然に席を立って、私から見て左奥の扉に入って行った。と、同時に少し小太りのエプロンをした女の人が、手に白い箱を持って出てきた。どうやら扉の向こうはキッチンらしい。
「どれが好きですか?」
と女の人ではなく、男の人が聞く。
箱の中にはショートケーキのような小さいピザがいくつも並んでいた。丸いもの、三角のもの、分厚いもの、薄いもの。もしかしたら岩石のカケラだったのかも知れない。
「バジルが好きです」
と私は答えた。
「それならコレです」
と女の人が指を指したのは、本当にショートケーキみたいな形をしたピザだった。とろけたチーズがたっぷりかかっている。ように見えたけれど、それも定かではない。
「薄い生地のマルゲリータが好きです」
と私はそのショートケーキのようなピザを断ろうとした。
「全部あげます」
と男の人が私に押しつける。
私はショートケーキのようなピザを避けて、その横にあった小さくて丸い形をした薄いピザを取り上げようとした。
と、ここで目が覚めた。
富士も鷹もなすびも出てこない、ピザとチーズと鉱石の初夢。何て意味のない、とりとめもない夢なんだろう。まぁだから夢なんだけど。