~ 菜 乃 庵 ~

ユルイ生活blog.目指せオトナのsimple life.

携帯電話のない時代に恋をしておいてよかった

今は告るのも別れるのも携帯電話ですませてしまう人が多いんだって。恋するドキドキワクワク感は、今も昔も多分変わらないとは思うけど、いろいろ便利になって、究極の切なさっていうのが実感しにくくなっているような気がする。

かくゆう私も数年前に一人、携帯のメールで別れ話をして終わった相手がいます。

こんな終わり方ってないっ!!! と一人落ち込みました。別れを言いだしたのは私でしたが、それでも一度会って話しをしようとか、ちゃんと別れようとかの方向になると思ってたのに。まぁその程度だったってことですが。

大人になると金銭的に余裕はあっても、時間的に余裕がなかったりするので、時間をお金で買うなんてこともやっちゃいますが、そして携帯電話はこの上なく便利なものですが、子供の頃は出来るだけ不便で、便利じゃないほうがいろいろ切ないと思います。恋はデジタルよりアナログのほうが絶対にいい!


先日見た「ごめん」というDVDが関西弁で、内容と一緒にかなり私の中に直球で入ってきたため、最近よく子供の頃の切ない恋心を思い出しています(笑)

以下、初恋とはじめてのボーイフレンドの話。何となく思い出したら書き留めておきたくなりました。これ以上過去になると、思い出せn…。なので自己満足です。何ゆえ遠い昔話なので、多少の脚色入ってます<(_ _)>  興味のある方だけどうぞ。


全く、このblogは一体どこへ向かっているのか(笑)


私の記憶では、小4の時にS君のことを好きだ好きだと皆に言いふらしていたような気がする。私はモジモジするタイプじゃなく、好きな人には好き!と公言するような子だった。今思えば子供だからね。こっちのお菓子とこっちのお菓子だったら、こっちの方が好きー!!! っていうノリだったと思う。

小5になってすごく仲良くなった子がいた。T君とJ君、そしてYちゃん。4人はいつも一緒だった。仲良くなったきっかけは小学校の卓球クラブだった。週に1回だけクラブ活動があったんだな。

クラブのない日でも、放課後に体育館が開いていれば自由に卓球台をセットして遊ぶことが出来たので、ほぼ毎日4人でピンポンしていたと思う。すごく楽しくて、日曜にも近くの卓球場にマイラケットを持って4人で練習しに行ってた。

うちの学校は2年づつクラスが一緒だったので、小5・6年の2年間4人はずーっと仲良しだったと思う。卓球が出来ない日は学校から一番近いT君の家に集まった。皆でコタツに入って、T君の家でおやつをもらったりしてた。

Yちゃんにはもちろん「私はT君のことが好きだ」って言ってたし、「T君のこと好きにならないで」とお願いもしていた。Yちゃんは幸いその頃転校してきた「A君が好き」って言ってたので、すごく安心して一緒に遊んでた。全く何て子なんだ、私はw

とにかくT君と一緒にいたくて、一緒に遊びたくて、ついて歩いてた気がする。男の子の中に混じって遊ぶことも少なくなかったので、小学校のお別れノートには「男の子より女の子も選んでね」って書かれたりするくらい。これを書いたのは後に出てくるTちゃんだ。


この片恋は長く続いた。最終的にはすごく残酷に終わるんだけど。


劇的に変わった中学生活。


中学に入るといきなり女子は色気づく。多分男子も。小学生は確実に子供の世界だった。中にはもう大人風情な恰幅のいい子もいたけど、でもそれは悲しいほどにあか抜けなくて、おっさんっぽかったり、おばさんっぽかったりしていた。

それが中学生になると感覚が変わる。同級生の男子はまだ子供で、上級生が妙に格好よく、素敵に見えるのだ。同級生の多くは先輩に憧れ、キャーキャー言って追いかけていた。その中で私は楽しかった2年間を思う。あの頃に戻りたい。T君と何気なく遊びたいと。

じゃんけんして負けたほうがおんぶして10歩あるくだとか、普通に手をつないだり、肩を組んだりしてじゃれあった下校道。中学生の制服を着たら、もうそれは出来ないのだ。大人っぽい上級生に憧れる友達には不思議がられたけど、私は一人で子供のまま成長しない彼を目で追いかける日々だった。あれが初恋だったと思う。

その頃仲良しだったのは、MちゃんとTちゃん。Mちゃんは同年の中でもずば抜けて大人っぽく見えたY君に夢中だった。Y君とは小学校が同じだったけど、おっさんぽい人で私は興味がなかった。Tちゃんは1年上の先輩を皆でキャーキャー言って追いかけていた。この時はまだ、Mちゃんが好きだったY君が絡んでくることになるとは思ってもいなかった。


Y君は小学生の時から大人っぽくて、体格もむちゃくちゃ良くて、生徒会長なんかやっちゃって、私は同じクラスになったことはなかったけど、そりゃーもう生徒どころか、親からも先生からもモテモテな人でした。頭も顔も性格も体格もいいとなれば、必然と目立ちます。贔屓目で言うと「エースをねらえ!」の藤堂さんみたいな人でした。はい。例えるマンガが古くてごめんなさい。

中学3年生になって、私ははじめてそのY君と同じクラスになった。後輩に聞くところによると、Y君にはファンクラブが3つ位あって、親衛隊もいるらしい。当時Mちゃんはとっくに違う人が好きになっていたし、私はずーっとT君を想っていたからY君には興味のないままだった。

休み時間になると、下級生がY君を訪ねて3年校舎にやってくる。教室の廊下にはY君見たさに来る下級生がとぎれなく行き来する。中には「わからないところがあるんで教えてください」と積極的に彼に近づく子もいる。彼を好きな同学年の子もいて、上級生は下級生に睨みをきかせる。もてる人を好きになるといろいろ大変だよね。

そんな中、Tちゃんは生徒会でY君と一緒だった。Y君は生徒会長。彼女は副会長。ここで私のスペック。私は学級委員の候補に一応名前は挙がるけど、票は集まらないタイプ。中学生の時は3年間を通して、前期も後期も体育委員だった。足だけは速かったのでいつもリレーの選手だったけど、陸上はやってない。


Tちゃんはよくぼやいていた。

「Y君がうっとしい!いつかあの鼻をへし折ってやりたい」って。


Tちゃんは私がT君のことをずーっと好きなのを知っていた。そのTちゃんはT君と同じクラスだった。私とTちゃんのクラスが変わればいいのに。そしたら私はT君をずっと見られるし、TちゃんはY君の鼻をへし折るチャンスを見つけられるかもしれないのにね。そんなことを笑って話したこともあった。かな…(笑)


修学旅行も終わって、いよいよ受験本番に入る秋。


私は相変わらず廊下の窓から、グランドで遊ぶT君の姿を目で追っていた。そこにY君がやってきた。下級生の目が怖い。はっきりとは覚えてないけど、こんな会話だった。


Y君「なぁ××(←名字呼び捨て)。今ちょっとかまへんけ?」

私 「ええよ」


多分これが彼と交わしたはじめての言葉だったと思う。同じクラスになってはいたけど、話す機会なんて一回もなかった。何度も言うけど彼と話すと下級生の目が怖いのだ。早く話せ!早く終わってくれ!って感じだった。


Y君はちょっと私に近づいて、でもそんなに周りを気にすることなくハッキリ言った。


「俺、お前のことが好きやねん。よかったら付きおうてくれへん?返事は急がへんし、ちょっと考えてほしいねん。」


・・・・・。  はぁ。


後日談だが、彼はこの後、格好をつけて笑ったらしいが、顔がひきつって元に戻らなかったそうだ。


で、このあたりがもう覚えてないんで微妙なんだけど、前後して。。。


ある日の昼休み、私はTちゃんに呼び出された。強引に有無を言わさない感じで、私の腕をひっぱる彼女。


「何?何か用なん?」


そう聞いても彼女は何も言わない。そんな私たち二人を見て、笑いながら友達の一人が私に言う。


「あー××、素直に行ったほうがええと思うで」


何だかいやな予感。

Tちゃんは私の腕をつかんで、階段を上がろうとする。私のクラスは2階で、彼女のクラスは3階にあったのだ。彼女にひっぱられながら階段を上がると、踊り場にT君がいるのが見えた。すぐに状況を察した私は抵抗した。

私はTちゃんが掴む手を必死にはずして逃げようとする。するとT君が一言いった。


「嫌がっとぉるやんけぇ〜」


結局私は自分の教室に逃げ帰ってしまった。Tちゃんはそれ以上は追って来なかったけど、その日の夜、T君から家に電話があった。携帯電話のない時代だ。今思えば相当な勇気だったと思う。


「昼間ごめんな」


まず彼は私にそういって謝った。そして


「あんな、僕、お前のこと好きや」


少しドキドキしたけれど、その言葉は私にはもう嬉しくなかった。


「無理せんでええよ。Tちゃんに煽られたんやろ」


そんな会話だったと思う。T君が何て言って電話を切ったかは覚えていない。ただ、私はもうこの時にT君のことを好きじゃなくなったんだな。

私がT君のことを好きだったことは彼に伝えてあった。だから私がずーっと片思いして彼を見ていたことを彼自身は知っていた。私も色気づいたものだから、廊下ですれ違っても恥ずかしくて目さえ合わせられなかったけど。


どうして今告白する気になったのか。これはTちゃんの策略だと私は思った。

Y君の鼻をへし折りたかったTちゃんは、T君を煽ったんだろう。Y君が私のことを好きだと気づいた彼女は、T君が私に告白したら絶対うまく行く。絶対Y君がふられることになるって。そういう策略が我慢ならなかった。アイツに取られるくらいなら、ボクが…っていうそんなT君の気持ちも子供心に嫌だったんだ。

これがこんな形じゃなくて、T君の意志で、T君自身が教室に来て、Y君みたいにちゃんと告ってくれてたら、また違ったような気がする。だって私は子供とはいえ、3年近くもT君を想って見ていたんだぜ。だけど子供だから、嫌だと思ったら嫌なんだ。だけど相手も子供なんだよね。子供は残酷だ。


こうして私の長い片思いの初恋は、両思いになる寸前で終わってしまいました。


ここから先は初恋ではなく、はじめての出来たボーイフレンドの話。


傍(特に同級生)から見たらモテる男になびいた愚かな奴って感じだったのかもしれない。うんまぁ実際そうだったかもね。だってそれまでY君には全く興味なかったわけだし。でもモテ男はそれなりに、やっぱり顔も頭も良くて格好よかったし、何より男らしかった。おかげでこうやって思い出すほど、華やかな恋愛テビューとなりました(笑)


この時、告白2つが先だったか、T君からの告白がY君に返事した後だったか、ちょっと覚えてないんだけど。


後日再びY君が私のところにやってきた。

「こないだの返事、もらえる?」

私は言葉を発するかわりに小さなメモを彼に渡した。そこには

ok!

とだけ書いておいた。


恥ずかしくて教室に戻った。先生が来て授業が始まってもY君の姿はなかった。少し遅れて、息を弾ませながらY君が教室に戻ってきた。先生が彼に言った。


「お前、さっき大きな声で叫びながらグランド走っとったけど、何かええことでもあったんかいな」


あー恥ずかしい。彼の行動も何もかもが恥ずかしかった。


彼はモテ男だったから、それからが大変だった。特に下級生の攻撃はすごかった。私と彼が歩くところにいつも下級生がぞろぞろいる。今みたいに個人情報保護なんてなかったから、家の電話番号なんて調べるのは簡単で、よく無言電話がかかってきた。

休みの日でも「Y君は今そちらにいらっしゃいますか?」とかかってきたりする。手紙もくる。怖いのはカミソリを仕込んだ手紙。本当にこれは怖かったです。あの頃もし携帯メールとか、裏掲示板とかあったら、間違いなく私はいじめの対象になっていたんじゃないかなぁ。

なんか、これだけだとモテ男に告られた自慢話しっぽくなりますが、私は特に勉強が出来たわけではないし、目立って綺麗だったわけでもなく、ごくごく普通の女子でした。


Y君に告られたあと、なんで私なん?って聞いたら彼が言いました。


「お前、ちょっと変わってるやんな」    orz


「友達いぃひんわけやないのに、いつも一人でいるやん?仲間はずれにされてんのかなぁーと思ってたらそうでもないやん?女子っていつも何人かで固まってるのに、お前違うやん?そやし気になっていつも見てた」


違う意味で目立っていたみたいでs


私は小学生の時から女子が連むことに抵抗があって、トイレに行くときや更衣室に着替えに行くとき、なんでいちいち友達誘って行くのかわかんなくて、大抵一人で行動してました。

いぁ仲良しの友達一人くらいなら待ちますが、××ちゃんも○○ちゃんも待ってあげようって言われたら、んじゃ先に行ってるねーって行っちゃいます(笑)本当に今の時代だったら完全に仲間はずれにされていたと思う。今の子供たちってちょっと不自由。

あと中1で仲良くなった二人、TちゃんとMちゃんはよく本を読む子でした。Mちゃんが図書委員だということもあって、Tちゃんと二人で図書室に通う毎日。年間100冊を目指して3人で冊数を競争してました。そんなこともあって、休み時間に一人本を読んでいることも多かったのです。


Y君は思いの外、優しくてロマンチックな男の子でした。毎日別れ際に一通手紙をくれるのです。必ず便せん2枚分。休みの日には自転車で私の家のポストまで入れに来てくれてました。小学校区が一緒なので、自転車で10分もあれば簡単に来られる距離でした。


携帯のない時代に恋をしておいて良かった。


今ならメールなんだろうなぁ。メールはメールでいいところもあるけどね。お別れするまでにもらった手紙は400通近くありました。20通をすぎたあたりからナンバーリングしてたんで覚えてます(笑) 封筒や便せんは洗練された綺麗なものが多かったです。薄いブルーに白いレースの縁取りとか。


最初の一通の内容は

受験が近くなったので、自分の気持ちを整理したかった。つきあうと言ってもまずは受験だから、一緒に勉強しよう。

なんてことが書かれていたのを何となく覚えています。


ある日、Y君と一緒に下校するとき、すぐ前にT君が友達と歩いていました。ちょっと気まずい。いや、かなり気まずい。するとT君の友達がふと後ろを振り向いて言ったのです。

「あ、うわさの二人が後ろに…」

T君はその言葉を遮って

「わかってる。ええねん、もう…」

この時胸が強烈にチクチクしたのを覚えています。何にも知らないY君は隣でニコニコ笑っていたけれど。女って残酷。恋愛って残酷。


Y君とは結局高校が離れてしまいました。元々「同じ高校に行きたいね」っていう気持ちが不思議と無かったんですよね。物理的に遠くなるとなぜか冷めてしまう私。

あと面食いじゃないから、いくら格好良くてもそれが別れがたい理由にはならなくて、今でもそうだけど波長が合うか合わないかの感覚タイプなんで、その後この恋もまた残酷な終わりを迎えることになります。それはまた別の話。


彼にもらった400通近い手紙は今も段ボールに入れて、実家の納屋に保存してあります。。。と言いたいところですが、いつの間にか親に処分されてました…orz 全くうちの親は;;人の思い出を勝手に処理しないでほしい。もう二度ともらえないのに。


あぁ。あの頃の手紙を今もう一度読み返したい。